院長ブログ
2015年11月 2日 月曜日
最近は歯を抜かないで治療するのが主流です は本当か?
先日、わざわざ川崎から治療の相談にお見えになったお母様が、近所の一般歯科に矯正の治療に行った処、そこに月に1〜2度矯正の治療にみえている矯正の先生に
「最近は歯を抜かないで治療するのが主流です」
と言われたそうで、本当にそうなのでしょうか?と 疑問を投げかけられました。
抜歯の問題は、いわゆるFAQのひとつです。
2012年の日本臨床矯正歯科医会の調査で、日本臨床矯正歯科医会(矯正専門開業医で構成される団体)の会員診療所1年間の抜歯治療率は58% という調査結果が出ています。非抜歯治療は約4割なわけですから決して主流ではありません。専門開業医でないところの先生は「抜歯しないのが主流」とおっしゃるわけですが、一般歯科における矯正治療ではなぜ専門医に比べてそういうことが起こるのかが、私は大変不思議です。
抜歯をしないで治療をすると聞けば、患者さんにとってはそれは大変大きなメリットに聞こえます。でも、それは同じ治療結果が出るという前提のものです。我々が抜歯治療をすすめる場合は、2つのパターンがあります。ひとつは抜歯をしないと治療が不可能な場合。もうひとつは抜歯をすることで、非抜歯治療よりも明らかにメリットが出てくる場合。問題はこの抜歯治療のメリットを担当する先生がいかにしっかり説明してくれるかです。もっと良い結果がでるかもしれないのに、非抜歯治療しか説明されないのでは患者さんにとっては、治療の選択肢が狭まってしまいます。
抜歯しないと出来ない治療、抜歯してはならない治療があるのとおなじく、ボーダーライン上のどちらでもできるという場合も存在します。そういう時に双方のメリットデメリットをしっかり聞く姿勢も矯正を開始する前には必要ではないかと思います。
「最近は歯を抜かないで治療するのが主流です」
と言われたそうで、本当にそうなのでしょうか?と 疑問を投げかけられました。
抜歯の問題は、いわゆるFAQのひとつです。
2012年の日本臨床矯正歯科医会の調査で、日本臨床矯正歯科医会(矯正専門開業医で構成される団体)の会員診療所1年間の抜歯治療率は58% という調査結果が出ています。非抜歯治療は約4割なわけですから決して主流ではありません。専門開業医でないところの先生は「抜歯しないのが主流」とおっしゃるわけですが、一般歯科における矯正治療ではなぜ専門医に比べてそういうことが起こるのかが、私は大変不思議です。
抜歯をしないで治療をすると聞けば、患者さんにとってはそれは大変大きなメリットに聞こえます。でも、それは同じ治療結果が出るという前提のものです。我々が抜歯治療をすすめる場合は、2つのパターンがあります。ひとつは抜歯をしないと治療が不可能な場合。もうひとつは抜歯をすることで、非抜歯治療よりも明らかにメリットが出てくる場合。問題はこの抜歯治療のメリットを担当する先生がいかにしっかり説明してくれるかです。もっと良い結果がでるかもしれないのに、非抜歯治療しか説明されないのでは患者さんにとっては、治療の選択肢が狭まってしまいます。
抜歯しないと出来ない治療、抜歯してはならない治療があるのとおなじく、ボーダーライン上のどちらでもできるという場合も存在します。そういう時に双方のメリットデメリットをしっかり聞く姿勢も矯正を開始する前には必要ではないかと思います。
投稿者 高橋矯正歯科医院 | 記事URL
2015年8月10日 月曜日
矯正市民セミナーで多かった質問

先日 日本臨床矯正歯科医会神奈川支部で行う、市民セミナーに参加してきました。毎年参加しておりますが、一般市民の方に矯正治療について理解していただくには、大変よいイベントだと思っています。
昨年と同様今年も相談のコーナーでお手伝いさせていただきましたが、熱心なお母様が多い中でも、やはり多いなと感じた質問は、いつから矯正を始めたらよいのかという質問です。
矯正の場合、いつやるの今でしょ ということは決して多いはずはなく、できればそろそろとか、もう少し待ちましょうという対応は本来は多いと思います。
もちろん、たまにはある意味ドンピシャで 今すぐやりましょうということもあるのですが、それが半分いるということはないですし、ほとんどの患者さんが、今すぐやれとすすめられるというのもにわかには信じがたいと思います。
大方の場合は焦る必要はないのですから、まずお近くの専門医に相談されるというのが一番良い方法ではないかと思います。
投稿者 高橋矯正歯科医院 | 記事URL
2015年6月24日 水曜日
子どもへの不適切な矯正歯科治療の実態調査の報告 2
少々間が空いてしまいましたが、その2です。
5:
相談転医の理由で半数を占める治療の方法についの内容の抜粋です。
・一般歯科で「床矯正」をやっていたが全然改善しなかった。
・12~18歳まで一般歯科で矯正治療に7年間通院。歯並びの治療は終了したので咬み合わせの治療は別の医院に行くように言われた。
・小児歯科医が「床矯正」のみで歯列の拡大を続けてきたが抜歯治療に移行せざるを得なくなり当院に助けを求めてきた。
・充分な検査も行わず非抜歯で上下の拡大のみを行っていた。治療費も高く期間も長かった。
以上のようなものとなっています。当院における再相談の内容と比べても大きくかわるものではなく、全国的な傾向なのだなあと思います。
6:診断資料の調査
矯正治療の診断にはセファロとわれわれが呼ぶ矯正用のレントゲンが必要ですが、約4割がセファロの撮影およびその分析をしていないという結果が出ています。
この結果には少々驚きです。私などはセファロを撮らずに治療開始というのは怖くてできません。
また7割の患者さんが治療に対して充分な説明を受けていないというアンケート結果が出ていますが、これはセファロ分析をしていないのですから当然です。客観的な説明などできるわけがありません。
7:前医の勤務形態
再相談もしくは転医に来る前の矯正はどのような先生が行っていたかということです。その内訳は
常勤の一般歯科医:54.5%
常勤の小児歯科医:12.2%
非常勤の矯正歯科医:20.5%
まあ、これも当然そうなると思います。まずは矯正専門でないところで、セファロなどの設備が本当に整っているのかどうかというのが大きな問題です。非常勤の矯正専門医の場合、その技術知識は千差万別と思いますが、設備が整っていない診療所であればその知識や技術は活かすことができません。
最近はこの日本臨床矯正歯科医会からの発信による新聞記事を見たのでというような来院が増えております。そういう方の多くは、やはりお子さんが今まで矯正治療を受けていた先生の方針ややり方に疑問を感じての来院です。当院では定期的に患者さんを紹介いただく小児歯科の先生はいらっしゃいますが、そういう先生はどのあたりを専門医以外での限界にするかという判断がしっかりととれています。問題はそうでない場合です。不安な点がある場合は必ず専門医に相談していただければと思います。
5:
相談転医の理由で半数を占める治療の方法についの内容の抜粋です。
・一般歯科で「床矯正」をやっていたが全然改善しなかった。
・12~18歳まで一般歯科で矯正治療に7年間通院。歯並びの治療は終了したので咬み合わせの治療は別の医院に行くように言われた。
・小児歯科医が「床矯正」のみで歯列の拡大を続けてきたが抜歯治療に移行せざるを得なくなり当院に助けを求めてきた。
・充分な検査も行わず非抜歯で上下の拡大のみを行っていた。治療費も高く期間も長かった。
以上のようなものとなっています。当院における再相談の内容と比べても大きくかわるものではなく、全国的な傾向なのだなあと思います。
6:診断資料の調査
矯正治療の診断にはセファロとわれわれが呼ぶ矯正用のレントゲンが必要ですが、約4割がセファロの撮影およびその分析をしていないという結果が出ています。
この結果には少々驚きです。私などはセファロを撮らずに治療開始というのは怖くてできません。
また7割の患者さんが治療に対して充分な説明を受けていないというアンケート結果が出ていますが、これはセファロ分析をしていないのですから当然です。客観的な説明などできるわけがありません。
7:前医の勤務形態
再相談もしくは転医に来る前の矯正はどのような先生が行っていたかということです。その内訳は
常勤の一般歯科医:54.5%
常勤の小児歯科医:12.2%
非常勤の矯正歯科医:20.5%
まあ、これも当然そうなると思います。まずは矯正専門でないところで、セファロなどの設備が本当に整っているのかどうかというのが大きな問題です。非常勤の矯正専門医の場合、その技術知識は千差万別と思いますが、設備が整っていない診療所であればその知識や技術は活かすことができません。
最近はこの日本臨床矯正歯科医会からの発信による新聞記事を見たのでというような来院が増えております。そういう方の多くは、やはりお子さんが今まで矯正治療を受けていた先生の方針ややり方に疑問を感じての来院です。当院では定期的に患者さんを紹介いただく小児歯科の先生はいらっしゃいますが、そういう先生はどのあたりを専門医以外での限界にするかという判断がしっかりととれています。問題はそうでない場合です。不安な点がある場合は必ず専門医に相談していただければと思います。
投稿者 高橋矯正歯科医院 | 記事URL
2015年4月19日 日曜日
子どもへの不適切な矯正歯科治療の実態調査の報告 1
先日、当院のFacebookページの方でもご紹介しましたが、日本臨床矯正歯科医会では全国の会員(矯正専門開業医)に対し、転医(患者さんが治療をする診療所を変える事)してきた患者さんについての調査を行いました。今回はその調査結果を日刊ゲンダイが取り上げ、さらにYahooニュースがとりあげたということになります。当院のFacebookページ上でも大変反響の大きい記事となりました。
今回このアンケートの詳細な結果が、日本臨床矯正歯科学会の方から送られてきましたので何回かにわたりこの内容をご紹介しようと思います。
今回アンケートに協力したのは、矯正歯科専門で開業し日本臨床矯正歯科医会の会員のうち203名です。以下ご紹介いたしますが、文言などは一般の方向けに少し平易に書き換えておりますのでご了承ください。
1:
2014年の1年間において 治療途中のこども患者の相談や他院からの転医があった診療所数は?
61%(203診療所中の123)の診療所が相談や転医があった。61%の診療所の相談転医を受けた患者さんの数は517名。 という結果です。
当院でもこのような転医、相談は毎年あります。大人でもありますが、やはり子どもの方が多い傾向かと思います。
2:では、その517名のうち不適切な治療を受けたと考えられる患者数は?
56% 288名の患者が不適切な治療という判断を相談もしくは転医を受け入れた先生が判断しているという結果が出ています。
123診療所で 517名ですので、単純計算で1診療所あたり年間約4名強の相談や転医があり、その約半分が治療が適切に行われていないという判断がなされたということになります。あまりよくないように思われる治療を受けている患者さんが年2名くらいいらっしゃるというのは、当院でも同じ印象です。
3:
では、お子さんの矯正治療の転医、相談の理由となった不適切な治療のついてですが
治療内容が71.9% 治療期間が10.3% 治療費が10.3% その他が7.4%
となっています。
いわゆる小児矯正では、期間が長くなるということは少ないと思いますし、また廉価でやるということを売りにしているところもありそうですから、この結果は納得できます。
4:
では相談、転医の理由となって治療内容の内訳についてですが、
治療の方法が50.7% 咬合に不満を感じる 31.4% 口元などの顔つきに不満を感じる 20.6% 歯並びに不満を感じる 20.2%
がトップ4となっています。
この項は次回に続きます。
秦野 厚木 小田原 伊勢原 中井 松田 大井 開成 の矯正歯科治療は 高橋矯正歯科医院
今回このアンケートの詳細な結果が、日本臨床矯正歯科学会の方から送られてきましたので何回かにわたりこの内容をご紹介しようと思います。
今回アンケートに協力したのは、矯正歯科専門で開業し日本臨床矯正歯科医会の会員のうち203名です。以下ご紹介いたしますが、文言などは一般の方向けに少し平易に書き換えておりますのでご了承ください。
1:
2014年の1年間において 治療途中のこども患者の相談や他院からの転医があった診療所数は?
61%(203診療所中の123)の診療所が相談や転医があった。61%の診療所の相談転医を受けた患者さんの数は517名。 という結果です。
当院でもこのような転医、相談は毎年あります。大人でもありますが、やはり子どもの方が多い傾向かと思います。
2:では、その517名のうち不適切な治療を受けたと考えられる患者数は?
56% 288名の患者が不適切な治療という判断を相談もしくは転医を受け入れた先生が判断しているという結果が出ています。
123診療所で 517名ですので、単純計算で1診療所あたり年間約4名強の相談や転医があり、その約半分が治療が適切に行われていないという判断がなされたということになります。あまりよくないように思われる治療を受けている患者さんが年2名くらいいらっしゃるというのは、当院でも同じ印象です。
3:
では、お子さんの矯正治療の転医、相談の理由となった不適切な治療のついてですが
治療内容が71.9% 治療期間が10.3% 治療費が10.3% その他が7.4%
となっています。
いわゆる小児矯正では、期間が長くなるということは少ないと思いますし、また廉価でやるということを売りにしているところもありそうですから、この結果は納得できます。
4:
では相談、転医の理由となって治療内容の内訳についてですが、
治療の方法が50.7% 咬合に不満を感じる 31.4% 口元などの顔つきに不満を感じる 20.6% 歯並びに不満を感じる 20.2%
がトップ4となっています。
この項は次回に続きます。
秦野 厚木 小田原 伊勢原 中井 松田 大井 開成 の矯正歯科治療は 高橋矯正歯科医院
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2015年2月18日 水曜日
先日の矯正相談でお母様に質問されたこと
先日、相談にいらっしゃっていただいたお母様は、私達のホームページを良く読んでいただいているようでした。
その上で、近所に月に何回か矯正の先生が来ている診療室があるのですが、そことは違うのでしょうか?とご質問いただきました。
矯正の先生が来ているというだけでは、どういったキャリアの先生がいらしているかはわからないのですが、お子様の治療の場合において、明らかに専門開業医と異なるのは、その先生がお子さんが大きくなるまでずっとみてくれるのかどうかというところです。
例えば6歳で反対咬合のお子さんが初診相談にいらっしゃったとします。通常は一旦は前歯の反対咬合を治して成長観察をします。
その後、成長観察を14歳くらいまでしたとすると、でこぼこがかなりあったりした場合は、そこからブラケットをつけますので、治療の終了は16歳くらいになります。その間同じ先生がみているのか、何度か先生が変わってしまうのか。担当医が代わるのは必ずデメリットになるわけではありません。しっかりした先生であるほど、担当医が変わるデメリットが生じないようにしっかりした引き継ぎを行なうと思います。
でも、専門開業医では引き継ぎの心配は基本的にはありません。矯正治療は、治療することで大きなメリットはありますが、必須の治療ではないことがほとんどです。矯正治療をしなくても生きていくことはできます。でもそういう治療であるからこそ、患者さんや保護者の方との対話が重要であると感じています。また本人が何を気にしているかということも成長とともに変わってくることはしばしばあります。そういうことを患者さんから引き出せる人間関係の構築も矯正治療では大切な要素ではないかと考えています。
その上で、近所に月に何回か矯正の先生が来ている診療室があるのですが、そことは違うのでしょうか?とご質問いただきました。
矯正の先生が来ているというだけでは、どういったキャリアの先生がいらしているかはわからないのですが、お子様の治療の場合において、明らかに専門開業医と異なるのは、その先生がお子さんが大きくなるまでずっとみてくれるのかどうかというところです。
例えば6歳で反対咬合のお子さんが初診相談にいらっしゃったとします。通常は一旦は前歯の反対咬合を治して成長観察をします。
その後、成長観察を14歳くらいまでしたとすると、でこぼこがかなりあったりした場合は、そこからブラケットをつけますので、治療の終了は16歳くらいになります。その間同じ先生がみているのか、何度か先生が変わってしまうのか。担当医が代わるのは必ずデメリットになるわけではありません。しっかりした先生であるほど、担当医が変わるデメリットが生じないようにしっかりした引き継ぎを行なうと思います。
でも、専門開業医では引き継ぎの心配は基本的にはありません。矯正治療は、治療することで大きなメリットはありますが、必須の治療ではないことがほとんどです。矯正治療をしなくても生きていくことはできます。でもそういう治療であるからこそ、患者さんや保護者の方との対話が重要であると感じています。また本人が何を気にしているかということも成長とともに変わってくることはしばしばあります。そういうことを患者さんから引き出せる人間関係の構築も矯正治療では大切な要素ではないかと考えています。
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