院長ブログ

2014年8月20日 水曜日

反対咬合の話~いつ、どこで治療をするのか~

 今年の頭くらいでしょうか、他の診療室で反対咬合の治療を5年ほど続けているという患者さんがいらっしゃいました。中学生の女の子です。反対咬合の治療は、前歯が生えそろう小学校低学年にできればなんとか一度前歯の噛み合わせを改善し、その後背の伸びや生え変わりの様子を観察しながら次の治療のタイミングを図るというのが王道です。この次の治療いつ入るかというのが実は難しいところです。
 その患者さんは、前歯の噛み合わせを治しながらも、背がぐんとのびる時期を迎えてしまい、上の前歯を後ろから前に押しているのだけども、背の伸びととも下の顎がのびてきてしまいいつまでたっても治療が終わらないという状況に陥っていました。
 確かに背がどのように伸びるかということを、確実に予測するのは100%正確にできることではありません。それを知っているので、矯正治療がきちんとわかっている先生は、背の伸びを慎重に見極めてから治療を初めて、極力治療期間が無駄に長くならないようにします。
 残念ながら、この患者さんは矯正専門医のところで治療した患者さんではありませんでした。お母さんからよくお話を聞くと、矯正だけではなく一般治療もやっている歯科医のほうが安心だと思ったそうです。
 どうして、そう思ってしまったのだろうなあと思います。これには我々の努力が足りないのかもしれません。僕がよくするたとえですが、では脳外科の手術を内科医のところで受けるのでしょうか?お産を普通の外科で行なうのでしょうか?
 本来歯科は、医科からすればより専門性の高い分野として独立しています。矯正も専門として勉強してきた私からすると、その中でも矯正はかなり特殊な分野です。
 この患者さんは、装置を外し歯を動かすのをやめ、成長観察を行なうことにしました。残念ながら今つけていた装置でやった治療は結果的には無駄なものでした。私としては、はじめから矯正がきっちりわかっている先生のところで治療してくれればという残念なきもちでいっぱいです。
 お子様の矯正治療をどこでやるかというのは、お父さんお母さんが決めることです。きちんと分からないで治療をする側にもちろん問題はありますが、玉石混交の情報の中正しい歯科医選びをするのも、親御様の責任ではないかと思います。
 テレビをみても、インターネットをみても、雑誌をみても、そこには我々専門家からみると、嘘ばっかりだというような情報があふれています。私は微力ながら正しい情報を発信するようにしていますし、そういう心ある先生は決して少なくありません。

 好ましい情報だけでなく、しっかりと医療というものを見定めてお子様の治療を考えていただくことが重要ではないかと常々考えています。
 

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2014年8月 8日 金曜日

犬歯がなかなか生えないとき

 歯の生え変わりは下の前歯から順に進んでいくことが多いわけですが、犬歯という3番目の歯、俗に糸切り歯という歯ですが、それも上の犬歯がなかなか生えない場合があります。
こういう場合にわれわれが一番心配するのは、犬歯がまっすぐに伸びずに横のほう(前歯の方)に向かってはえてきていないかということです。

 もしこういうことがおきると、一番前の歯や二番目の歯の根っこに犬歯があたってしまい、あたられた方の歯がだめになってしまうことがあります。

 この診断にはパノラマレントゲンというものを撮るのが一番確実ですが、このレントゲンは原則的に16歳以上でないので保険適用にならないので、一般歯科では見逃してしまうことが多いのです。パノラマレントゲンは被爆量も小さいですが、得られる情報が多いので、若年者にも保険適用になると利点が多いと思うのですが、なかなか制度が変わりません。

 ご家庭での確認としては、まず、乳歯の3番目の歯がなかなか抜けないというような場合は、次に生えてくる大人の歯の犬歯がへんな方向を向いている可能性がありますので、矯正医を受診するのがおすすめです。矯正医は、年齢や歯肉の状態、他の歯の生え変わりの状況から、しばらく観察するか、すぐにレントゲンをとるべきかを判断すると思います。

 もし、残念なことにこのままでは前歯に悪い影響を生えてこない犬歯が及ぼす可能性が高い場合は、歯茎を切って犬歯に矯正装置をつけ、犬歯の生える方向を修正していくことになります。犬歯は根も長く、動かすのはけっして簡単ではないのですが、前歯がだめになることには代えられません。

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