院長ブログ

2015年1月 5日 月曜日

乳歯にブラケットをつけるの?

矯正専門医にみえる患者さんのうち、永久歯列が出来上がっている患者さんについては、もちろん適応次第ということは否定できませんが、いわゆる「ブラケット」という装置を用いることが多いです。これは歯一本一本を3次元的にコントロールすることができ、治療をする側としては良い治療結果をだすためには最も有利な装置といえます。

春先、学校歯科検診に行くと生え変わった前歯の永久歯を含めて、生え変わる前の乳歯にもこの装置が付いている児童に出くわすことがあります。なんとも不思議な光景です。乳歯を動かしてもその後抜けてしまいますので、永久歯に使うブラケットをつけてまで動かす必要があるのかというと、大変疑問です。

乳歯にブラケットを付ける場合、そうやる先生(大方は矯正専門医ではないですが)にはいくつか理由があるようです。ひとつは早めに乳歯を動かして、その乳歯が生えている骨の状態を改善するということ。なるほど一理あるかもしれません。しかし、歯がはえている歯槽骨という骨自体は歯を動かしたくらいでは形は改善しないと思います。おそらくそこで彼らが出たと考えるような良い結果は、乳歯にブラケットをつけなくても、あとから永久歯に対して処置をすればよいだけなのではないかと思います。

早く治療を始める意義が本当にあるかは、正直確認できません。早くやれば安心なのか、やった治療が実は無意味(やらなくても同じ結果が出たかもしれない)なのかも確認できないのです。

乳歯にブラケットをつけるとなると、小学校低学年、今まで私は幼稚園の年長さんについているのも見たことがありますが、歯磨きがいっそう大変になります。

その年長さんでブラケットをずらっとつけているお子さんのお父様は、歯科用のレーザーの販売をやられている営業の方でしたが、
「こうやって装置をつけたことで、子どもの歯磨きに対する意識があがった」と誇らしげにお話されていました。歯磨きの意識を上げるのであれば、もっと負担が少なくかつ安価な方法があるだろうになぁと思います。

投稿者 高橋矯正歯科医院