院長ブログ

2014年9月19日 金曜日

みんなできれば抜歯したくないのです

 矯正治療と切っても切れないのが抜歯をするかどうかという問題です。
 結論からいいますと、我々矯正歯科医もできれば抜歯をしないで矯正治療をしたいと思っています。

 なかには、
「矯正専門の先生のところだと抜歯されてしまう」と言われましたという方もいらっしゃいました。

 歯を安易に抜いてはいけないというのは、歯科医師みんなが習うところです。でも、矯正治療には抜歯が必要なこともあるというのも同じように習うところなのです。

 私は患者さんにはこういっています。

「僕らは歯を抜くデメリットは充分わかっています。でもそれでも歯を抜くことを薦める時は、以下二つの理由のどちらかです。
A:ひとつは歯を抜かないで治療を行なうと、大きなデメリットがある場合。
B:もうひとつは歯を抜くことで歯を失う以上のメリットがあると考える場合です。」

 Aの場合は、歯を抜かないで矯正治療をやるのであれば矯正治療をやらないほうがましという場合がほとんどです。こういう状態なのに抜歯せず矯正治療をすると、歯の寿命やかみ合わせに大きな悪い影響が出て、これなら矯正治療なんかやらなければよかったのに暗澹たる気持ちになります。
 Bの場合は、その抜歯のメリットについて患者さんそれぞれの考え方が違いますので、説明の上患者さんに決めてもらいます。

 矯正治療の場合、画一的なやり方は存在しませんが、基本線としては抜歯はできればしたくないと矯正医は思っています。それに多くの患者さんが抜歯をしないと言えば喜ぶことも知っています。それなのに、抜歯を提案するというのはよほどの理由があるときです。私には抜かない抜かないという謳い文句をかがげているところが本当に患者さんのための治療をしているのだろうかと疑問を感じる時があります。
 
 患者さんが満足すれば良いと、言い切る先生もいらっしゃいますが、正しくない医療をして患者さんが満足していてよいのでしょうか?安い値段で、見栄えの良い家がたって患者さんは喜んだけど、構造などの根本的なところはめちゃくちゃで良いのでしょうか?
 

投稿者 高橋矯正歯科医院